理事長挨拶

  


理 事 長 村濱 史郎

  

 バードレスキュー協会は今年10周年を迎えました。節目の年を迎えることができたのも、皆様のご支援の賜物と心から感謝いたします。

 大阪府には傷病鳥獣救護ボランティア制度があり、制度に登録した個人が委託を受けて傷病鳥獣の飼養を行っています。しかし、餌代や飼養にかかる手間の負担が大きく、個人ではなく団体として取組む必要があると考える人がいました。その方は思い半ばで故人となりましたが、その遺志を継ぎ、日本野鳥の会大阪支部は2008年に「傷病鳥救護プロジェクトチーム」を発足させました。

 これが日本バードレスキュー協会の前身です。

 メンバーは救護ボランティアや大阪支部幹事の有志でした。助成金の申請をスムースに行えることや会員を広く大阪府以外にも求める必要のあることから、支部の下部組織ではなく独立した団体となることを目指し2010年1月4日に「特定非営利活動法人日本バードレスキュー協会」として法人格を取得しました。設立当初の事務所は縁あって、大阪府枚方市の丘陵地、穂谷に設置しました。理事には大阪支部幹事や救護ボランティアなどの6名が就任しました。
 その後、高齢や家事都合などの理由で辞任があった一方、野鳥の会ひょうごから理事を迎えるなど、現在の理事は8名になっています。2010年度の会員数は51名でしたが現在の会員数はおよそ120名になっています。

 穂谷事務所は里山にポツンと建った一軒家で傷病鳥を飼養する環境として申し分なかったのですが、交通の便が悪く、事務所でのボランティアを確保できず、開所後も救護活動を始めることができませんでした。当時は事務所そのものの維持管理や、諸々の手続き、そして協会に委託を受けながらも個人で飼養していた傷病鳥の世話などで精いっぱいの日々が続き、協会の広報活動もままならない状態でした。そのようことから、複数の会員の方から「会費を払ったが、何をしているか見えてこない」などの不満が寄せられ、それを理由に退会する方もでてくるような有様でした。2010年7月に穂谷事務所で開催された第1回通常総会では救護活動の不備が指摘され「早急に穂谷事務所での救護活動を開始すべき」との意見が述べられました。この時ばかりは「一生懸命やっているのに、なぜ理解してもらえないのか」と本当に心が折れそうになりました。
 広報の不備を痛感して、その年の秋に機関誌「レスキュー・ニュース」を創刊しました。さらに穂谷事務所でボランティアを確保できなかったことから、2011年5月に河内長野市小山田町に事務所を移転しました。幸い小山田事務所周辺には会員の数も多く、ボランティアに応募してくださる方も現れました。レスキュー・ニュースは第4号より発足した編集部のもとで順調に号を重ねて今号で37号となっています。
 2019年には丹波篠山市に念願の兵庫県事務所を開設することができました。設立当初から現在に至るまで、レスキュー協会で救護した野鳥の数は、のべ925羽になりました。十分な活動を行ってきたかと問われると、忸怩たる思いもありますが、それでも傷ついた野鳥のために多少の力添えはできたのではないかと考えています。

 最近、少し活動が停滞気味でマンネリ化の兆しもあります。今この稿を書くにあたり、10年前の記録を眺め、当時の思いが蘇ってきました。新たな10年に向けて活動をさらに充実させるとともに、若い仲間を増やし次世代にバトンを渡せるよう頑張っていきたいと思っています。

 私どもの趣旨についてご理解を賜り、ご支援ご協力頂きますよう何とぞよろしくお願いいたします。